おいしい話 

高校生の頃の話である。
友達が、一枚の<チラシ>を持って、
意気揚々と、学校にやって来た。
その<チラシ>は、アルバイト募集の<チラシ>で、
新しくオープンする、レストランの割引券かサービス券を
ポストに投函する短期のバイトだった。
友達が、意気揚々と登校して来たのは、
もちろん「おいしい話」だったからだ!
その<チラシ>に、書かれているのは、
<チラシ>を持って説明を聞きに行くと500円貰えると、
また、友達を紹介すると、紹介者に500円貰えるのだと書いてある。
私は、その友達に<チラシ>を見せてもらったので、
紹介された側だ。
で、私は、違う友達にこの話をした。
そこで、私も紹介者を作った。
そんな感じで、口づてに、紹介→紹介をして行き、
6人集まった。
で、週末の土曜日に学校が終わってから、
説明を聞きに行くコトにした。
もし、バイトをしなくても説明だけを聞き
500円ゲットは、
私達、高校生にとってそれだけでも、
大きい収入だ!
6人いるので、500円×6で、3千円だ♪
私達は、説明を聞きに行く前に、
その3千円で、帰りに何を食べるか、
茶店の前で、「私はチョコレートパフェ!」
「私は、プリンアラモード♪」と、
全員、何を食べるか決めた。
・・・30分ほど、バイトの説明を私達は、
おとなしく聞いていた。
何んでも、投函する地域が、決められていて、
その場所までは、自費だと言うのだ。
そう言う訳で、検討して、また連絡下さい。と、
言う説明だった。
雰囲気が、「じゃぁ、解散!」って、感じだったので、
私達は、すかさず500円の話をした。
「私はチラシを持ってるAさんに紹介されました。」
「私は、Bさんに紹介されましたぁ〜!」
「私はCさんに・・・。」と言う具合である。
相手の、お兄ぃさんは、キョトンとして言った。
『チラシを持って来た人が、バイトをした時点で、
初めてその人に500円。その後、バイトをする人を紹介して、
その人が、バイトをして、初めてその人に謝礼で、500円』
なのだそうだ。
私達は、一銭も貰えず、
帰るコトになった。
もぅ、口は、チョコレートパフェを食べないと、
収まらない状態になっていたが、
仕方が無い。我慢・・忍耐・・だ。
取らぬ狸の皮算用とは、このコトだと、
身をもって知ったのだった。
そして、真っ当に生きようと・・・。
その方が、プリンアラモードに、
近道だから・・・。