私は待機中の女?

数年前、私(スモーク♀)は、
週に二日ほど、夕方数時間のバイトをしていた。
「居酒屋BAR」って感じのお店だった。
その周辺は、飲食ビルが多く、
自転車の私は、いつも置き場に、
困っていた。
にぎやかな通りの裏手の路地が、
当たり前のように、自転車置き場に
なっていた。
よしんば、自転車を置くコトが出来ても、
二重、三重と、重なって止められているので、
今度は、出す時が大変な状態だった。
その路地の入り口には、
いつも50代半ばの「おばちゃん」がいて、
よく、自転車をキレイに並べていた。
私は、バイトを始めて、しばらくして、
一緒にバイトをしてる自転車で、来ている子に、
『あの、自転車置いてる場所にいつも居てる、
おばちゃんは、何処の人なんか知ってる?』と、
聞くと、その子は、
『自転車を見張ってくれてる人みたい。』と
言った。
私は、それ以上は聞かず、すぐさま理解した。
この辺の飲食店組合(みたいな?)が、
お金を出し合って、
自転車の<盗難防止>のために、
人を雇ってるんやなぁ〜♪
私は、さっそく次からは、
挨拶をするようになった。
『おはよう御座います。(夜だけど・・)今日も、
ヨロシクお願いしまーす♪』
帰宅時には、
『今日は、ありがとう御座いましたぁ〜、
また、お願いしまぁ〜す!』
・・・日々は流れ、帰ろうとした、ある日、
私の自転車が、空気を抜かれると言う、
イタズラにあった。
私は、怒りを、おばちゃんにぶつけた!!
わざわざ、路地の入り口に立っている、
おばちゃんの所まで、自転車を抱えて行き、
少し怒った口調で、
私:『あのぁ〜!自転車、空気抜かれてるんですー!』
おばちゃん:『あら!あら!悪い事する人おるなぁ〜。』
おばちゃんは、世間話でもするかのような口調だった。
私は、心の中で「ちゃんと、見張っててよっ!」と
思った。
そんなコトもあったが、私は、相変わらず、
挨拶は、続けていた。
あれだけ沢山の自転車だ!一人で、見張るのも、
大変かも知れない・・。と思ったし、
これからも、お世話になるのだから・・。
ある時、他愛のない話をバイトの子、数人で、
してる時、何かの話の流れで、私が、
『自転車を見張ってるおばちゃん、トイレの時は、
どうするのかなぁ?』みたなコトを言った。
すると、思わぬ事実が、私を襲った!
「あの、おばちゃん、ポン引きやで!男の人に
声かけて、ホテルに行かせて、携帯電話で、待機してる
女の子をホテルに行かせてるねん!」
えぇーーーーー!!!
私は、耳を疑った!そして聞いた、
「でも、自転車をキレイに、並べてるのを
何回か見たよ?」すると、
「そりぁ、路地が自転車で、封鎖されたら、
人が、通れなくて仕事になれへんからちゃう?」
えぇーーーーー!!!
そう言えば、よく男の人と立ち話をしていた。
携帯電話も、よくかけていた。
じゃぁ、私の挨拶は、どうなるんだ。
<今日もヨロシクお願いしまーす。>
<また、お願いしまーす。>
何をやねん!
何をお願いすんねん!
 
そりゃぁ、自転車の空気を抜かれた時、
自転車とは全く関係のない、
おばちゃんにとっては、
「あら!あら!」と言う世間話レベルだろう。
 
誤報だったコトが判り、
事実を知った後も、
私は、若干の違和感を覚えつつも、
バイトを辞めるまで、挨拶を続けたのだった。
だって、おばちゃんは、私に、
「飴玉」とか、くれる間柄になっていたからだ・・・。