なんでもない事。 

先日、銀行に行った時、
「ATM機」が、十数台あるにもかかわらず、
凄い、蛇行する列が出来ていた。
何かのアトラクションに並ぶような、
ポールにロープを張った、迷路のような列である。
殆んどの人(全ての人)が、黙って、
列に並んでいた。
もちろん、心の中は、
「ひえぇ〜!」や「時間かかりそう・・」など、
色々な思いは、あったハズだ。だが、
そこは皆んな「大人」である。
社会の一員として、ソコにいるのだ。
私は、鞄から、読みかけの本を取り出して読んでいた。
後ろのオバサンが、覗き見していたが、別に、
<・・男は、良子の白い太股に手をかけた。
 その時、良子の唇から「あっ・・」と言う声が・・>のような、
内容ではないので、
覗かれても、全く支障はなかった。
しばらくして、男性の罵声が聞こえて来た。
銀行員に、この果てしない長い行列を見て、
文句を言ってるのである。
『こんなに並んでたら、4日は並ばな、あかんやんけっ!』
私は、この、おっちやんに興味を持ってしまった。
4日って?・・・えらい、中途半端だし、
文句を言うにしても、普通、
『こんなに並んでたら、夜中までかかるやんけっ!』とかの
表現なら、判らないではないのだが、
その、おっちゃんの口からは、
何度も<4日間並ぶ>にこだわるのである。
私は、日常で、思わぬ言葉を聞けた時、
少しだけ、嬉しくなってしまう。
 
ずいぶん前の話だが、
私が、商店街の果物屋さんで、
「りんご」を買おうと思って、りんごを手に取って見た時、
りんごが、黒くなっていた。
私は、店主に、
『このりんご、腐ってますよ!』と言ったら、
店主は、思わぬ言葉を口にした。
『腐ってるんと違いますねん!痛んでますねん!』
私は、この時も嬉しくなったのを記憶している。

先日は、電話のオペレーターの女の子が、
最後に言う
「ありがとう御座いました。山田が承りました。」と言う
言葉を、
『ありがとう御座いました。まゆみが承りました。』と言って
しまったのだ。
たぶん、彼女は普段自分の事を「私は・・」ではなく、
「まゆみは・・」と名前で、言っているのだろう。
その後、言い直してはいたが、私とオペレーターの女の子は、
二人で、笑っていた。
 
明日からも私は、微笑ましい、
思わぬ言葉に遭遇したいと思うのです♪