幼過ぎたんです(3)

<昨日の続き・・>

家に帰ると「ガンダム」は放送されていた。
木村君が帰宅の時に「俺が代わりに観て長沢に内容を伝えるわ!」
みたいなセリフを言っていた。
間に合って良かった♪と思い、私はチャンネルを替えた。

夜になって、父が会社から帰宅してきた。
そして家族団らんの夕食の時に、父が言った。
「今日の夕方、長沢さんの息子さん、学校で悪い事して、
家に学校から呼び出しの電話があったらしくて、その連絡を受けて
早退しはったわ。」
長沢君のお父さんと、私の父が同じ会社だとは、
何んとなく知っていたが、そんな事より、私はその時、
とんでもない展開になっている事を父から聞かされたのである。
ある意味、その方がスゲェー!と思った。

次の日、学校に行って見ると、長沢君は、丸刈りになっていた。
本当にマルコメであった。
長沢君は、木村君から机を離していた。
木村君は前日の「ガンダム」の内容を身振り手振りで、
説明していたが、長沢君は無視をしていた。

後で、聞いた話だが、
夜中の11時頃まで、親と生活指導の先生も含めて、
長時間の話し合いをしたらしい。
長沢君の親は、
『こんな高いおもちゃを買いあたえるほどのお小遣いは渡していない!』
『そのゲーム機は、今どこにあるのか?』(木村君が持って帰った)
最終的には、「万引きしたのだろう!」と言う結論になったと言う。
長沢君は、否定も肯定もせず、ずーーーーーーーーっと、
泣いていたそうだ。
松原先生は、全てにおいて決め付けでモノを言うところが多々あったし、
あの家庭科の先生に対する、プライドもあったのだと思う。
「冤罪でもいいから解決」と言う大人だった。

しばらくして、父は会社の食堂で、長沢さんに会った時、
「女の子は、よろしいなぁ・・うちは、男の子ですんで、
何しよるか、大変ですわ!」と言われた事を少し、
嬉しそうに語っていた。

この件に私が絡んでた話を父にしたのは、それから、
ずっと後の事だ・・・。

今、私が大人になった長沢君が、
何処で何をしてるか知る由もないが「ガンダム」のDVDを
思う存分、気の済むまで観てもらいたいと、
心から願ってならない。 <終>