アリよさらば!!   

今でこそ、蟻(アリ)を、頻繁に
見るコトはなくなったが、
昔、私(スモーク♀)が、子供の頃は、
よくアリを見かけたものだ。
 
幼稚園くらいの頃の、出来事だが、
外で遊んでいて、服(ズボンなど)に付いて、
家の中に入って来たのか、居間の畳の上で、
一匹のアリを、私は見つけた。
私は、台所から、お砂糖をほんの少し、持って来て、
そのアリの居る、畳の上に置いてあげた。
アリは、戸惑うように、砂糖の周りをウロウロしていた。
しばらくして、母が『買い物に行くで!』と言うので、
私は、そのまま買い物に出かけた。
 
ニ、三時間だっただろうか?
帰宅してみると、すごい光景が目に飛び込んで来た!!
その頃、私の家は、石の階段を五段ほど上がってから、
玄関(ガラガラの引き戸)だったのだが、
その階段から、玄関の隙間に向かって、アリの、行列が
出来ていた。
玄関を開けてみると、これまたスゴイ!
居間に向かって、まだまだアリの行列は、続いている。
 あの、砂糖に向かって・・・ 
母親は、ホウキを取り出して、アリに向かって、
何か怒っていたように思う。
でも、私は、さっきのたった一匹のアリ
コトを考えていた。
 「あのアリ、しゃべりやがったな!」と思った。
たぶん、あのアリは、迷い込んだ、知らない場所に、
思わぬ「宝物(砂糖)」を見つけた。
そして、死に物狂いで、巣に帰って、自慢気に、
『ええもん見つけたけど、教えようかなぁ?
           止めておこうかなぁ?』
とか、なんとか、しゃべったのだろう。
他のアリたちは、信じようとせず、
『嘘や!迷子になるようなお前に、そんな、おいしい話が
  ある訳がない!』と言ったに違いない。
             (見たんかい!)
そして、じらせた挙句、そのアリは、持ち帰った、
一粒の砂糖を『ほらよっ!』とばかりに、見せたのだろう。
それで、このすさまじい行列が出来たのだ!
そのアリは、平社員から、いきなり出世したに違いない。
もしかしたら、女王アリと、イイ思いのひとつも
あったかもしれない。
私は、今でも、アリの恩返し
待っている。
 
その後、何度か、一匹だけアリを誘拐して来ては、
家の色んな場所に、砂糖とアリを置いてみたが、
すごいルートを使って、行列はやって来る!
 (母親は、アリに怒っていたが・・)
教訓として、わかったのは、
「アリは、おしゃべり」だと言うコトだ。
きっと、そのすごい、アリの連絡網を使って、
私(スモーク♀)の大バカぶりも、
全国、津々浦々、北は北海道、南は、九州、沖縄まで、
広がっているコトだろう。
 
私は、小学生になり、
『科学と学習』と言う、雑誌を、付録目当て
毎月購読していた。
その時の付録に、透明のケースに、アリを入れて、
横からアリの巣が見える仕組みの、
 アリの生態を調べよう!と言う付録があったが、
私は、もぅ、アリの生態に興味はなくなっていた・・・。